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温度や湿度によって変わる?! ウイルスの感染リスク!!

20/11/09 ウイルス対策

暑かった夏も終わり、もうすぐ冬本番を迎えます。夏場でも終息する気配すら見せなかった新型コロナウイルスですが、気温・湿度ともに低くなる冬場は感染するリスクは高くなると言われています。

 なぜ冬季にウイルス感染症が流行るのでしょうか。乾燥している屋内にこもりがちになる季節にどのような対策を行えばよいのか。ここでは気温や湿度とウイルス感染症との関係を現状で分かっているものをまとめました。


1. 気温が下がるとウイルスは長生きする!?

 先ごろ、オーストラリアの疾病予防センターの研究で、気温によって新型コロナウイルスの生存する長さがどう変化するかを調べた研究結果を発表しました。それによりますと最長で28日間もの間、新型コロナウイルスは生存する可能性があるというのです。そして気温が下がるほど生存する確率が上がったということです。

 実験では気温を40℃、30℃、20℃で設定して実施しました。さらにそれぞれの温度で紙、ステンレス、ガラス、ビニール、木綿の素材を使用し、光の入らない暗室で行われました。そしてそれぞれの温度で1時間後、1・3日後、1・2・3・4週間後の状態を調べました。

 結果、20℃では木綿以外の素材の表面で28日後でも新型コロナウイルスの生存が確認されました。30℃では紙で21日後、ステンラスやガラスで1週間後に検出。
 40℃ではすべての素材で48時間後以降には検出されませんでした。

 もちろん実験をする環境と私たちの生活環境で違いはあります。ですが、インフルエンザウイルスで同様の条件の実験をおこなったところ、最長の生存は17日だったことから新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスよりやっかいな存在だと言えると思います。

2.湿度が下がると飛沫の飛ぶ距離・量は2倍以上!?

 会話や咳・くしゃみのときに口から出る飛沫は“しぶき”とも読み、室内が乾燥していると拡散しやすいと言われています。その飛沫の飛ぶ距離と量を測定する実験が「富岳」というスーパーコンピュータで実施されました。

 結論から言いますと、飛沫は湿度が高すぎると床に落下しやすくなり、逆に低すぎると拡散量が増えます。例えば湿度60%と30%で比べますと約2m先に届く飛沫の量は湿度60%は30%の約半分だったということです。   

 このことから空気が乾燥しやすい冬場は飛沫の拡散リスクは高くなることがわかります。飛沫の拡散を防ぐために室内の湿度を60%程度にしておくと良いでしょう。逆に湿度が高いときには飛沫はあまり飛ばず、物に付着している割合が高いので机やテーブルなど手が触れる場所を次亜塩素酸水やアルコールで除菌しましょう。

3.飛沫の大きさによってリスクも変わる!?

 飛沫の大きさは水分を含んで5μm(マイクロメートル)以上ですが、もともと5μm以下のものや、乾燥して小さくなった飛沫は「飛沫核」と呼ばれます。飛沫核ほどの大きさになると質量は非常に軽くなり、空中を漂うようになって拡散範囲が広がります。これが会話や咳、呼吸によって人の体に吸引されて空気感染の原因となっている可能性が高いのです。

 空気感染はエアロゾル感染・飛沫核感染とも呼ばれています。はしかや結核などは飛沫核(エアロゾル)になっても感染力を失わず、広範囲に感染を拡大させます。またインフルエンザウイルスも乾燥している条件では空気感染がおこることがわかっています。

 では新型コロナウイルスの場合はどうでしょうか。米疾病対策センターは2020年10月、新型コロナウイルスの感染経路に関する指針を改定し、「『空気感染』で広がることが時々あり得る」との意見を述べております。

4.室内環境によって変化する感染リスクとその対策

 これまで述べたことから、気温が低く湿度も低い環境では感染リスクが高くなると言えそうです。とは言え、感染リスクを下げるために部屋の温度を常に40℃にするのは現実的ではありません。加湿して湿度を上げても空気感染のリスクが減っただけで飛沫感染や接触感染のリスクは残っています。

 このように身の回りの環境によって感染リスクは変わっていきます。つまり湿度が高いと飛沫・接触感染のリスクが上がり、低いと空気感染のリスクが高くなるというように私たちが生活する環境である以上常になんらかの感染リスクにさらされています。

 今後は場所や環境によってリスク対策を変えて、よりベターな方法を選択することが大事になってくると思います。 

まとめ

 繰り返しますが、現状で考えられる対策としては、湿度が高ければ飛沫が落ちて物や床についていると考えられるので、床やテーブル、手すり、ドアノブなどを次亜塩素酸水などで拭き上げる。乾燥していれば空気感染対策としてまず換気し、その後室内を加湿するのが良いでしょう。 

 次亜塩素酸水を空間噴霧することで室内にまんべんなく行き渡り、除菌効果があることが知られています。乾燥状態から加湿することで空気感染対策になり、物や床に付着しているウイルスに作用する次亜塩素酸水の噴霧はまさに効率の良い対策と言っていいと思います。

ファイルのアイコンこの記事を書いた人

㈱岡部機械工業 梅山 和久衛生管理者の資格を取得してから5年以上。徳島の岡部機械工業で社内の衛生パトロールを行い、職場環境の改善に取り組んできた。職場の環境衛生を整えることによって、健康優良法人に選ばれました。働くうえでは健康が何よりも重要だと思い、環境衛生について日々研究している。